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15- D- 0248 201 5 年 6 月 2 9 日
株式会社日本格付研究所(J C R)は、以下のとおり信用格付の結果を公表します。
首都高速道路株式会社
(証券コード:−)【新規】
長期発行体格付 AAA 格付の見通し 安定的 ■ 格付事由
(1) 道路関係四公団の分割民営化により 05 年 10 月に設立された 6 つの高速道路会社の 1 社で、国(出資比率 49. 99%)、東京都(同 26.72%)のほか、3 県(神奈川県、埼玉県、千葉県)、2 市(横浜市、川崎市)が 出資する特殊会社。首都高速道路(首都高)は道路法上、都県道及び市道に属するが、自動車の高速交通 の用に供する点、都市機能の維持・増進を目的として建設される点などで特別な類型をなしており、自動 車専用道路として当道路だけで 1 つの路線網を構成する「都市高速道路」に位置付けられる。独立行政法 人日本高速道路保有・債務返済機構(機構)と締結した「協定」に基づき、首都高の建設および管理・運 営などを実施する高速道路事業のほか、駐車場やパーキングエリア(PA )の管理・運営などの関連事業 も手掛ける。格付は、政策上の重要性が極めて高い事業を行っていること、法令上国との結びつきが強い ことなどを反映し、日本国と同格とした。民営化 10 年目を迎えるにあたり、国は民営化に伴う経過措置 等に関することを規定した「日本道路公団等民営化関係法施行法」に基づき、民営化関係法の施行の状況 について検証を進めている。当該検証において、高速道路事業の政策上の重要性に影響を及ぼす措置が講 じられないか着目していく。
(2) 高速道路事業では、必要な道路の効率的な建設・管理および債務の確実な返済を行うため「上下分離方 式」の事業スキームが採用されている。当社が建設した道路資産は、原則として工事完了後に機構に帰属 し、その建設のために当社が自ら調達した社債や借入金は機構が引き受ける(重畳的債務引受)。当社は 機構から道路資産を借り受け、協定に定められた道路資産賃借料を機構に支払い、機構はそれを原資とし て機構の債務を返済する。首都圏の大動脈である首都高は、ヒト・モノの機動的な移動手段として欠かせ ない社会インフラであり、当社が実施する首都高の整備事業は政策上の重要性が高い。また、設立根拠法 である高速道路株式会社法において、国及び地方公共団体による 1/ 3 以上の議決権の保有、役員の選・解 任手続きや社債発行、毎年度の事業計画に関する国土交通大臣の認可など、国による強い関与が規定され ている。
(3) 当社が機構に引き渡す債務の限度額、当社が機構から借り受ける道路資産の賃借料、当社が徴収する高速 道路料金の額などは、高速道路事業の収支が均衡するように協定で定められている。金利や建設コストの 上昇などで高速道路の建設費が増加する場合には、協定を変更することで対応が可能とされている。また、 協定における計画料金収入対比で実績料金収入が上下 1%を超えて変動する場合に、道路資産の賃借料を 変動させることで、当社の損益に与える影響を一定の範囲に抑えられる。激甚災害が発生した場合には、 国及び地方公共団体からの補助金を原資とした機構からの無利子貸付金により復旧事業を行うことも可能 となっており、当社では東日本大震災にかかる高速道路の復旧にあたり無利子貸付金が措置された。自然 災害や事故、経済環境による金利変動や高速道路需要の変化など、高速道路事業が抱えるリスクはさまざ まなものが想定されるが、このように事業リスクを顕在化させない仕組みがある点は評価できる。 (4) 首都高は高架橋やトンネルなどの構造物の占める割合が著しく高く、全日平均で一日約 95 万台の利用交
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取り組みが課題となっている。更新事業の事業費は 6, 262 億円に上るが、その財源は協定の変更により料 金徴収期間を延長することで対応されることになった。
(5) 関 連事 業の 規模 は小 さく 、事 業リ スク は小 さい 。事 業の 中核 は駐 車場 事業 であ り、 都内 5 ヵ所 (2, 240 台)及び、高架下等 58 ヵ所(5, 500 台)で運営・管理を行っている。休憩所として PA 20 ヵ所を展開して いるが、うち 13 ヵ所は無人であり、規模が大きい PA は限定されている。駐車場や PA 店舗の改修などで 毎期投資を行っているが、投資額は小さく基本的に内部資金で対応している。新たに駐車場や PA を設置 する余地は小さいうえ、関連事業にかかる債務も高速道路事業にかかる社債のクロスデフォルト条項の対 象となることから、高速道路債務の返済確実性を最重視するなかで、今後も多額の外部調達が必要となる ようなリスクの高い事業を展開することは考えにくい。
(6) 高速道路事業では、14/ 3 期は雪氷対策、道路施設点検などの管理費が協定上の計画値(計画管理費)を 上回ったことから赤字となったが、同期を除いては黒字が確保されている。今後も計画管理費を上回る管 理コストが発生する場合などで赤字となる可能性はあるものの、関連事業では駐車場事業を中心に薄利な がら一貫して黒字(15/ 3 期 9 億円)を計上しており、高速道路事業の利益変動に対して一定のバッファ ーとなっていることから、全社ベースで多額の赤字を計上する可能性は低いとみている。15 年 3 月末の 連結自己資本は現状の資産規模からすると十分な水準とは言えないが、多額の道路建設関係債務(3, 482 億円)は道路建設完了後に随時機構に承継されることを勘案すると、財務の健全性に問題はないと判断し ている。
(担当)加藤 厚・南澤 輝 ■ 格付対象
発行体:首都高速道路株式会社 【新規】
対象 格付 見通し
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格付提供方針に基づくその他開示事項
1. 信用格付を付与した年月日:2015 年 6 月 25 日
2. 信用格付の付与について代表して責任を有する者:野上 正峰
主任格付アナリスト:加藤 厚
3. 評価の前提・等級基準:
評価の前提および等級基準は、J C R のホームページ(http:/ / www. jcr. co. jp)の「格付方針等」に「信用格付の種類
と記号の定義」(2014 年 1 月 6 日)として掲載している。
4. 信用格付の付与にかかる方法の概要:
本 件 信 用 格 付の 付 与 にか か る方 法 の 概 要 は、 J C R の ホ ー ムペ ー ジ ( http:/ / www. jcr. co. jp) の 「 格 付 方針 等 」 に 、
「財投機関等の格付方法」(2014 年 3 月 13 日)として掲載している。
5. 格付関係者:
(発行体・債務者等) 首都高速道路株式会社
6. 本件信用格付の前提・意義・限界:
本件信用格付は、格付対象となる債務について約定通り履行される確実性の程度を等級をもって示すものである。
本件信用格付は、債務履行の確実性の程度に関しての J C R の現時点での総合的な意見の表明であり、当該確実性
の程度を完全に表示しているものではない。また、本件信用格付は、デフォルト率や損失の程度を予想するもので
はない。本件信用格付の評価の対象には、価格変動リスクや市場流動性リスクなど、債務履行の確実性の程度以外
の事項は含まれない。
本件信用格付は、格付対象の発行体の業績、規制などを含む業界環境などの変化に伴い見直され、変動する。ま
た、本件信用格付の付与にあたり利用した情報は、J C R が格付対象の発行体および正確で信頼すべき情報源から入
手したものであるが、当該情報には、人為的、機械的またはその他の理由により誤りが存在する可能性がある。
7. 本件信用格付に利用した主要な情報の概要および提供者:
・ 格付関係者が提供した監査済財務諸表
・ 格付関係者が提供した業績、経営方針などに関する資料および説明
8. 利用した主要な情報の品質を確保するために講じられた措置の概要:
J C R は、信用格付の審査の基礎をなす情報の品質確保についての方針を定めている。本件信用格付においては、
独立監査人による監査、発行体もしくは中立的な機関による対外公表、または担当格付アナリストによる検証など、
当該方針が求める要件を満たした情報を、審査の基礎をなす情報として利用した。
9. J C R に対して直近 1 年以内に講じられた監督上の措置:なし
■留意事項
本文書に記載された情報は、J C Rが、発行体および正確で信頼すべき情報源から入手したものです。ただし、当該情報には、人為的、機械的、また
はその他の事由による誤りが存在する可能性があります。したがって、J C Rは、明示的であると黙示的であるとを問わず、当該情報の正確性、結果、
的確性、適時性、完全性、市場性、特定の目的への適合性について、一切表明保証するものではなく、また、J C Rは、当該情報の誤り、遺漏、また
は当該情報を使用した結果について、一切責任を負いません。J C R は、いかなる状況においても、当該情報のあらゆる使用から生じうる、機会損失、
金銭的損失を含むあらゆる種類の、特別損害、間接損害、付随的損害、派生的損害について、契約責任、不法行為責任、無過失責任その他責任原因
のいかんを問わず、また、当該損害が予見可能であると予見不可能であるとを問わず、一切責任を負いません。また、J C Rの格付は意見の表明であ
って、事実の表明ではなく、信用リスクの判断や個別の債券、コマーシャルペーパー等の購入、売却、保有の意思決定に関して何らの推奨をするも
のでもありません。J C Rの格付は、情報の変更、情報の不足その他の事由により変更、中断、または撤回されることがあります。格付は原則として
発行体より手数料をいただいて行っております。J C Rの格付データを含め、本文書に係る一切の権利は、J C Rが保有しています。J C Rの格付データ
を含め、本文書の一部または全部を問わず、J C R に無断で複製、翻案、改変等をすることは禁じられています。
■NR S R O 登録状況
J C R は、米国証券取引委員会の定める NRSRO(Nationally Recognized Statistical Rating O rganization)の 5 つの信用格付クラスのうち、以下の 4 クラ スに登録しています。(1)金融機関、ブローカー・ディーラー、(2)保険会社、(3)一般事業法人、(4)政府・地方自治体。
■ 本件に関するお問い合わせ先